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設立趣意書

「三風の会」発足にあたって

―伊那谷の風土・風景・風格を未来へ継承すべき価値に―

目的

大自然がなす優れた眺めもさることながら、今に至る長い歴史のなかで、人が生きる営みを通じて、周囲の自然との関わりながら、その土地ならではの暮らしと文化を築くことで形成された景色にもまた、私たちは心惹かれる。風景とは、風土であり風格であると思う。いや、これら三つが一体ゆえ、かけがえのない輝きがあるのだろう。しかし、いつしか人は土から離れ、水から離れ、自然への畏敬・感謝とは無縁なところで、環境をデザインするようになった
今を生きる私たちが、未来へ託すべき伊那谷らしい「風土・風景・風格」とは何か。どうしたらそれらを五十年後、百年後さらに後世まで伝えることができるのか。産官学そして住民がチームとなって、生きた遺産として「風土・風景・風格」を継承するため、「三風の会」を発足する。

経緯

長野県経営者協会上伊那支部と上伊那8市町村の首長による交流会が年一回開催されている。地域の課題について意見交換し合う場として、活性化をキーワードにさまざまな議論が交わされるなか、伊那谷の原風景について取り組んでいくことが提案された。これまで自治体などによる景観保護活動は、各地で行われてきたが、行政と産業界がチームをつくることで、新たな展開ができるのではないかと模索が始まった。
世代をこえて継承すべき、あるいは後世にバトンタッチするに値する風土・風景・風格の創造について、まずはモデルを決めて取り組むこととし、伊那西部広域農道をモデルライン「伊那谷風土記街道」に設定。この舞台において活動する組織を「三風の会」と命名した。
「三風の会」の構成員は、上伊那広域行政の8市町村長と、長野県経営者協会地域活性化委員会、および長野県テクノ財団伊那テクノバレー企画委員会からなる。さらに、信州大学でエコロジカルデザインを専攻する上原三知助教にも協力をいただき、また、モデルルートの住民も広く活動に参加いただくこととし、産官の枠組みに学と民も加えた活動を企画している。
モデルラインは、当初伊那西部広域農道とするものの、徐々に延長し、伊那谷全体を縦貫する「線」を目指す。

視座

1 時間の俯瞰

伊那谷で人の営みが始まって数万年の時間が経過している。原風景とは、自然そのものの眺めであるとともに、人と自然との関わりのなかで形成されてきた。伊那谷らしい風土・風景・風格とはいかなるものか考えるとき、この伊那谷の歴史において、人はどのように自然と向き合い、暮らしを成り立たせ、祭りや信仰、芸能といった文化を築いてきたかについて考察したい。

2 空間の把握

伊那谷は、天竜川水系の中に位置する。八ヶ岳から諏訪湖へ注いだ水が天竜川となり、東西の支流を集めながら五十有余里を旅して遠州灘へ至る。伊那谷を語る際は、天竜川水系というスケールをもって、水系全体の一角としてこの地域を捉えるべきだろう。継承すべき風土・風景・風格についても、天竜川水系という舞台全体を意識したものとする。

活動

1 「三風の会」の位置づけ

伊那谷の風土・風景・風格を未来へ継承すべき価値とする思いを、産官学、そして住民の間で共有する場である。

2 学びの場づくり

伊那谷の風土・風景・風格について学び、相互の研究や経験を共有しあう場を設ける。モデルライン「伊那谷風土記街道」界隈では、すでに景観保護活動等が実施されている事例もあり、その経験に学ぶところも大きい。

3 規制・基準づくり

未来へ継承すべき価値を守り、磨いていくために必要なルールを提案する。

4 ホームページの作成

「伊那谷風土記街道」のホームページを作成する。本会の活動やモデルラインの魅力を伝えるとともに、沿線の店舗・企業に資する情報を掲載する。

5 子供たちが参加できる仕掛けづくり

この活動が脈々と継承されていくよう、次の引渡し役となる子供たちもこの取り組みへ積極的に参加できる仕組みをつくる。